地域振興×介護予防の掛け合わせの事業として、地方自治体を中心に「ショッピングリハビリ」という考え方が注目を集めています。
ショッピングリハビリとは、普段は外出が困難な要支援者や介護事業の対象者が自宅から送迎で商業施設などへ行き、スタッフ指導のもとで現地で買い物をする介護予防事業の一種です。
高齢者にとってはショッピングをすることで、コミュニケーションが行われることによる認知機能の改善や商業施設を歩くことによる運動機能の改善、家での閉じこもりを防ぐことによるフレイル(身体的機能や認知機能の低下が見られる状態)予防などの様々な効果がみられます。
最近では地方自治体だけでなく、訪問介護事業所やデイサービスなどの居宅介護サービスの事業所がレクリエーションや生活支援サービスの一環でショッピングリハビリを自社のサービスの一つに取り入れるケースも増えてきています。
ちなみにこのショッピングリハビリが注目を集める理由は高齢者の介護予防という観点だけではなく、地域振興という観点もあるためです。
人口減少が続く地方の商業施設では高齢者の買い物需要がなくなることは、収益の減少という死活問題に直結します。
商業施設が撤退すれば雇用や経済がまわらなくなり、ますます若者が減り、地方が衰退するという負のスパイラルに入るリスクがあります。
こういった地方の衰退を防ぎ、地域活性化を行うための施策の一つとしてショッピングリハビリが注目を集めているのです。
また、地域の商業施設も自社の利益につながる話ですので、自治体や介護事業所が協力の打診を行った際には前向きに協力をしてもらえることも多いようです。
一方でショッピングリハビリの導入には注意も必要です。
それは認知症の兆候がある高齢者が過剰に買い物をすることを防ぐ必要があるということです。
なかには認知症の高齢者が何度も同じものを購入したり、過剰にものを購入するケースが出てしまう可能性があるためです。
自治体や介護事業所はショッピングリハビリサービスを提供する高齢者の方々が認知症ではないかのチェック体制についてきちんと整備するようにしましょう。
ショッピングリハビリについてはショッピングリハビリカンパニー株式会社というサービス導入の支援をしてくれる会社もありますので、興味がある自治体、介護事業所は一度問い合わせてみるといいでしょう。
このショッピングリハビリについては介護予防サービスを高齢者に提供できるだけでなく、普段若者が行く商業施設で若者が介護予防サービスにふれる機会を創出できるため、若者が『介護』のことを知るきっかけともなりえます。
介護のことを知る若者が増えれば、それだけ学生が就業選択時に介護のことを考えてもらえる確率も上がります。
中長期的には福祉・介護業界や介護事業所への採用にもつながっている話といえるでしょう。