ケアコネクトジャパン社による介護事業所を対象としたアンケート調査で、介護ソフトを導入している事業所のうち8.5%しか介護ソフトによる業務効率化ができていないことが分かりました。
三菱総合研究所社が実施した別のアンケート調査によると、介護業界内の9割以上の事業所が何かしらの介護ソフトを導入していることが分かっているため、上記の調査データと合わせて考えると、業界ではほとんどの事業所が介護ソフトを使いこなせていたいという事実が明らかになってきます。
これは本来は事業所の業務効率化のために導入された介護ソフトが実際は業務効率化に寄与できていないということをさします。
なぜそのような事象が起きてしまうのでしょうか。
これらは業務効率化のためにつくられた介護ソフトの問題ではなく、どちらかというと使う事業所側の問題だといえます。
問題が起きる主な理由としては、介護ソフトを導入する際に大きな工数をかけて導入したとしても、肝心の導入後に運用の実態がどうなっているかを振り返る事業所が少ないためだといわれています。
そうなってしまうことを防ぐためには介護ソフト導入時、もしくは導入後に下記事項を意識する必要があります。
① 導入前後に事業所内で介護ソフト関連事業の責任者を決めておく
② その責任者が定期的に経営者や人事担当者に介護ソフトの利用に関する報連相を行う場を設ける
③ 導入時にどういった形で導入後に効果測定(定量・定性的に何が達成できているべきなのか)を行っていくのかについて決められている
④ 導入時に現場の介護スタッフへきちんと導入理由の説明や介護ソフト自体の使用方法についての説明が繰り返し実施されている
⑤ 介護ソフト導入に反対する介護スタッフへたとえ納得をしてもらえなかったとしても、しっかりと会話をしている
⑥ 介護スタッフが介護ソフトを使用しなかった場合には、軽度でもいいので何かしらのペナルティがある
介護ソフトを導入してもそのソフトを使いこなせていない事業所は上記事項のどれかができていないといわれています。
特に⑤については介護ソフトの導入を推進する経営者・人事担当者にとっては悩ましい課題であるといえるでしょう。
ただ、こういったICT関連のツールを導入する際は既存スタッフからの反発は必ずといっていいほど起こりえます。
そうなった時にたとえ相手に100%の納得をしてもらえなかったとしても、推進側の人間として誠意を尽くして相手に向き合う姿勢が重要となります。
決して面倒だからといって該当スタッフとの会話を避けてはいけません。
会話を避けていると、該当スタッフが介護ソフトに関するネガティブな話を事業所内で流し、いつの間にかその意見が一大勢力になっているというケースは業界内ではよく聞かれるためです。
また、介護ソフトの導入がうまくいくと業務が効率化され、職員の定着にもつながります。
介護ソフトの導入は職員の定着面だけでなく、採用面でも活用することができます。
たとえば、介護ソフトの活用を採用活動時にPRすることで、理系人材やICTに興味がある人材の採用につながるかもしれません。
介護事業所の経営者・人事担当者の皆様は自事業所で介護ソフトをしっかりと使いこなせているかについていま一度確認をいただければと思います。
そして、万が一使いこなせていなかった場合には介護スタッフへのヒアリングを通して何が原因かを突き止め、その対策を練るようにしましょう。
【介護ソフトに関するアンケート調査結果のリリース記事は➡】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000072858.html