〚介護トピックス〛週4日勤務という働き方

現在、福祉業界・介護業界以外の業界では正規職員で週4日勤務の制度の導入を検討する企業が増えてきています。
この社会の流れは実は介護業界にとっては追い風ともとらえることができます。

なぜならシフト制で動いている業界こそ、この制度は導入しやすいためです。
実際に週4勤務を検討する際の考え方について整理してみましょう。

■従来(週5勤務)の働き方
⇒週5勤務で1日8時間勤務の人材は週に40時間働いている。
■週4勤務の働き方
⇒週4勤務に移行する場合、1日10時間勤務で週4日働くので、週の合計で働く時間は週5勤務と同じ40時間となる。

これは24時間365日動いている介護業界の施設型のサービス形態で、実施しやすい施策といえるでしょう。
もともと24時間365日をシフトでうめていた運営形態のシフトを見直すことで、導入できる施策であるためです。

シフトを見直すということはいい効果もあります。
シフトとシフトの隙間時間を最近注目を集めている地域のシニア人材や主婦層を活用することで、より効率的に施設運営ができるようになることもあるでしょう。
また、週4勤務にすることで、自事業所の従業員もメリハリがある働き方ができるようになるでしょう。

一方で、週4勤務にはデメリットも存在します。
1日の勤務時間が長くなることで、職員の勤務日の負荷は高くなるでしょう。
また、職員同士の情報伝達の頻度や密度に課題が出ることもあるでしょう。
施策導入時にはこういったことへの配慮も必要となります。

他の業界ですと、ある程度の残業が前提となる固定残業代やみなし残業代が支払われることの多い営業社員を抱える企業はこういった制度を導入するのに時間がかかるでしょう。
企業からすると、勤務日数が減ることで、売上や稼働率などが下がる事態は避けたいためです。
それだけこの週4勤務という施策は、導入ハードルの高い施策となっています。
他の業界の企業に先んじて、週4勤務の制度を導入できると、それだけ週4勤務希望の学生や求職者を介護業界は囲い込めることができます。
これは、福祉業界、介護業界をもともと志望業界に入れていない学生や求職者へ働き方という訴求方法でリーチができるということになります。

昭和の時代では正規職員の週6勤務が当たり前でしたが、令和の現在では週5勤務が当たり前の時代となったように、20年後の日本では週4勤務が当たり前になっているかもしれません。
そうなる前に福祉業界、介護業界で先んじてこういった制度を導入できると、他の業界よりも福祉業界、介護業界が注目され、学生・求職者に選ばれるチャンスにもつながるでしょう。
人材不足が続く福祉業界・介護業界における課題解決の一つの選択肢となる可能性もあります。

そして、実際に週4勤務で採用成功している福祉事業所、介護事業所がまだまだ少ないながらも次々と出始めています。
福祉業界・介護業界の人事担当者は、週4勤務という施策を採用活動における効率的な打ち出し方という観点だけでなく、自事業所の働き方改革の一環としてぜひ検討いただければと思います。