〚介護トピックス〛資格未取得者の採用のすすめ

よく介護事業所の経営者、人事担当者の方をお話をすると、人材採用の面で「介護資格を持つ人材」の採用にこだわっている方々を見かけます。
もちろん資格取得者を採用するメリットはたくさんあります。
具体的なメリットとしては、サービス提供を行うにあたっての人材要件を満たせる、技術に関する教育研修が多くは必要ない等があげられます。
ただ、一方で資格取得者の採用にこだわり続けることにはデメリットもあるということを忘れてはいけません。
資格取得者の採用にこだわるデメリットは下記となります。
■ 資格未取得者よりも採用のハードルが高いことが多い
■ 業界経験者は前職の仕事の癖がついていることが多く、自事業所の仕事のやり方や社風に合わない可能性がある

こういったメリット、デメリットの両方を考えると、介護事業所の経営者、人事担当者は資格の取得者、未取得者についてバランスよく採用していく必要があるといえるでしょう。
そうはいっても、介護事業所はサービス形態によっては資格の取得が必須であったり、既存メンバーのバランス的に資格の取得者を採用したいというニーズもあることでしょう。
そういった経営者、人事担当者の方々へは「資格未取得者を採用して、入社前、もしくは入社後に資格を取得してもらう」という方法をお勧めします。
しかし、業界未経験者の人材へ「この仕事を始めるのには資格が必要です。頑張って自費で資格を取ってから入社してください」と伝えても、なかなかすんなりと理解をしてもらえるケースは少ないでしょう。
「お金も時間もかかるなら、そういったものが必要ない他の業界で働きます」といわれても致しかたないといえます。
そこで、事業所における資格取得支援の制度設計が必要ではありますが、ここで採用時のメッセージとして資格取得に関わるお勧めの打ち出し方を紹介します。
■ 入社までに資格を取得してもらう場合
└事業所として学校の紹介を行う。その際、事前に学校と提携をしておくことで、取得費用を安価にできるようにしておく。
└資格の取得費用については、いったん事業所が立て替える。
入社後、半年経過すると、費用負担については無しとなる。
内定辞退、及び、入社後半年以内に退職をした場合には、その期間に応じて、傾斜を付けて資格取得費用を該当人材に請求する。
■入社後に資格を取得してもらう場合
└事業所として学校の紹介を行う。その際、事前に学校と提携をしておくことで、取得費用を安価にできるようにしておく。
└資格の取得費用については、該当人材が支払う。
資格取得後に資格手当という形で1か月、3ヶ月、半年等の一定期間に分けて、取得費用を徐々に該当人材へ事業所から支払っていく。

上記の打ち出し方はあくまで一例ではありますが、資格取得者の採用にこだわってる人事担当者はぜひ一度上記の打ち出し方を参考にして資格未取得者の採用について検討いただければと思います。
採用成功のポイントは費用負担については、事業所の負担であることをしっかり伝えることです。
もちろん資格取得の費用だけとられて該当人材が短期間で内定辞退、退社しても意味はありませんので、すぐに費用を負担するのではなく、期間をあけて負担していくことが重要です。
地域にもよりますが、行政や自治体、業界団体が資格取得の費用負担を行っているケースもありますので、事前にそういった制度がないかの確認も行えるといいでしょう。
また、こういった取り組みは、福祉・介護業界の就業人口増加にもつながる取り組みです。
自事業所だけでなく、人材不足で苦しむ業界全体のことも考えた際には、一事業所一事業所が各地域でこういった採用方法を積極的に推進していく必要があります。