〚介護トピックス〛小中学生への機会創出

最近、採用活動の一環で小中学生に介護の仕事を知ってもらうための取り組みを始める介護事業所が増えています。
介護業界全体が人材不足であることは周知の事実ですが、なぜいま小中学生なのでしょうか。
本来であれば、高校生、大学生、転職者にリーチした方が採用には直結するはずです。

介護事業所があえて小中学生への取り組みを実施しているのには理由があります。
小中学生に介護の仕事を知ってもらう機会をつくっている介護事業者は人材確保における中長期的な視点でこの取り組みを行っているのです。

人は職業選択をする際に自分の知っている職業から選ぶといわれています。
つまり、就職のタイミングで介護の仕事という選択肢を求職者にいきなり提示したとしても手遅れなケースがよくあるということです。
職業選択や会社選択のタイミングでは既に求職者は自分の就きたい業種を決めてしまっているのです。

そういう意味では、介護業界は福祉分野の中では保育業界・障害業界よりも職業選択のタイミングでは不利であるといえるでしょう。
日本人のほとんどが幼稚園か保育園に通い、特別支援学校がある小学校が多くあるため、人は保育業界・障害業界と小さい頃より自然に触れ合っています。
一方で核家族化が進む日本では小中学生が介護業界を知る機会は少ないといえます。
そうなると職業選択の際に介護業界を選択肢に入れない若者が増えてしまうのもうなづけます。

そこで、小中学生が大人になり、職業選択のタイミングになる前に介護の仕事を知ってもらうことで、職業選択のタイミングで介護の仕事を選択肢にいれてもらおうという介護事業所が増えているのです。
もちろんすぐに採用に直結する話ではありませんが、地域や地元の中で介護の仕事を志す若者を増やすことが可能になります。

ここで、小中学生への介護の仕事を知る機会をつくっている介護事業者の事例を3つご紹介します。

■社会福祉法人あかね
https://e-akane.com/
⇒近隣の小学校と連携し、「キッザケア」という小学生が介護の仕事を知るイベントを毎年実施している介護事業者です。

■社会福祉法人白山福祉会
https://hakusan-fukushikai.com/
⇒施設を「レゴ美術館」と呼び、施設内にレゴ関連の展示物や子供向け図書を多数設置することで、学校帰りの小中学生が立ち寄れる施設づくりを行っている介護事業者です。

■社会福祉法人ケアネット
https://yayoi-home.com/
⇒一つの施設で飼育しているペットの犬を近隣の小学生が定期的に散歩に連れていく慣習をもってもらうことで、小学生が介護施設を知る機会を創出しています。

■社会福祉法人賛育会
https://www.san-ikukai.or.jp/index.html
⇒地域の子供向けに「子供食堂」を運営することで、地域の子供たちが小さい頃より介護施設へ訪問する機会創出を行っています。

学校と連携して職業体験イベントを実施するのも一つの手ですが、普段から小中学生が集まりやすい施設づくりを心がけるのも一つの手です。
こういった取り組みはすぐに採用につながる話ではありませんが、中長期的には地域の中で介護の仕事を志す若者を増やす素晴らしい取り組みといえるでしょう。
必ず自分たちの業界、事業所にも人材確保という形でかえってくる取り組みです。