〚介護トピックス〛介護施設の犯罪抑止策

最近、介護施設で犯罪が起きるニュースが多くなってきています。
これらのニュースは世の中からの業界へのネガティブなイメージを誘発し、そのイメージが原因でこれまでより一層人材が業界にこなくなり、業界が人材不足となり、事件が起こりやすくなるという悪循環を招きかねません。

介護業界に限らず、どういった業界でも事件を起こす人は事件を起こしますが、介護施設の犯罪防止策として何ができるのかということを本ページでは考えていきましょう。

介護施設として、犯罪を防ぐ方法は主に2点あるといわれています。

1つめは、入社前の面接でしっかりと自施設で働く人材をスクリーニングするという方法です。
何かしらの事件が起こった施設は、人材不足の状況であることが多いです。
人材不足の施設は施設運営にあたって猫の手も借りたい状況であるからこそ、新しい人材の採用面接時の採用基準も緩くなりがちです。
ただ、明らかに自施設の雰囲気や介護の仕事に合っていない人を採用するぐらいでしたら、採用をしない方がいいといわれています。
そういった人材は入社後にトラブルを起こしがちで、既存の従業員への負荷が逆に人材不足時よりも高まるという事態になりかねないためです。
そして、実際にこういった事態は全国の施設で多々起こっているのが実情です。
多少コストがかかっても、派遣や短期バイトの雇用で繋いだり、人材紹介で雇用した方が結果的にはトータルでは人材に関わるコストが安価になるということがよくあります。
介護施設の人事担当者は普段から自施設の採用力を把握しておき、採用活動を始めたらどういった手段でどれくらいの期間で充足できるかをざっくりとでもいいので計算できるようにしておきましょう。
面接の際には、選考する人材が施設や仕事に合うかどうかの確認をするための質問事項を複数準備しておくことも重要です。

2つめは、犯罪を起こさせない施設づくりを行うという方法です。
事件が起こった施設に第三者として訪問したことがある人でほとんどの人が該当施設に対して指摘することは「あの施設は従業員同士のコミュニケーションがうまくいっていない」というものです。
普段から従業員同士のコミュニケーションが取れている施設ですと、そのコミュニケーション自体が良くも悪くも施設内の監視の目となるため、心理的に犯罪をしづらくなるのです。
たとえば、犯罪を起こした人のことを該当施設の施設長や従業員がよく「あの人は職場で孤立していた」と話をしがちです。
人は孤立しているからこそ、「何をしてもバレない」という心理状況になったり、ストレスを貯めてもそれを吐き出せる環境がないため、どこかで犯罪という形で感情が爆発してしまうのです。
もちろん孤立しているという状況は本人にも原因があるかもしれませんが、はたして施設全体にも問題がなかったといえるのでしょうか。
介護施設の人事担当者はいま一度、自施設の従業員同士のコミュニケーションがしっかり行われているか否かについてしっかりと確認をするようにしましょう。

職員同士のコミュニケーションの活発化、円滑化のためにはいくつかの手段があります。
一例ではありますが、下記に記載をさせていただきます。
■人間関係がうまくいっていないチーム、部署は配置替えを行う
■お互いのパーソナリティを理解し合える、自己開示型の研修プログラムを用意する
■職員同士の感謝を伝え合う「ありがとうカード」を毎日渡し合うといったコミュニケーションツールを施設内に導入する
■会議の場では必ず全員に意見を聞き、発言の機会を設ける
■レクリエーションやイベントのリーダーを順番制にして職員全員が定期的に何かしらのリーダーを経験できるようにする
■職員同士の食事会や交流イベントの場への報奨金、奨励金を出す
など

介護施設では一度事件が起こると、自施設の経営が一気に傾きかねません。
業界全体へもネガティブイメージが蔓延するため、一つの事件が業界へ与える影響が非常に大きいといえるでしょう。
業界全体で事件や事故が多発している今だからこそ、人事担当者はしっかりと自施設の現状を把握して対策をねっておくようにしましょう。