〚保育トピックス〛保育士の仕事の業務分担について

シニア

最近、保育園や幼稚園において人材不足から業務がまわらず、いたましい事件や事故が起きるケースが増えています。
業界としては保育人材の確保は年々難易度が上がっているというのが現状です。

そのような中、保育に関わる業務を分解し、保育士でなくてもできる仕事を未経験無資格の地域の人材を採用、活用する保育園、幼稚園が増えてきています。
なぜこういった取り組みが増えているのでしょうか。
それは、業界的に保育事業所では保育士が業務過多に陥っているケースが多いためです。
保育業界では昔からどんな業務でも保育士一人へ一気に任せがちです。
そうすると何が起きるのでしょうか。
保育士が業務過多を理由に退職し、残った保育士へ更に業務が集中し、業務がまわらなくなる。
業務がまわらなくなるとサービスレベルが落ちたり、事件や事故が起きたりするなど、負のループが始まってしまいます。
負のループに入らないためにまずは保育士一人一人の業務負荷を減らす必要があるのです。

それでは保育士でなくてもできる仕事とはどのようなものがあるのでしょうか。
経営者や人事担当者であれば、一度現場の業務を体験すれば色々と見えてくることがあるでしょう。
一般的には保育士でなくてもできる仕事では、保育園への送迎や食事をテーブルへ出す給仕業務、おもちゃの片付けやレクリエーションの準備、掃除などの業務があげられます。
これらの仕事を地域のボランティアやパート、アルバイトなどのスタッフに依頼するのです。
忙しい時間や業務を一定の時間に集中させることで、短期間の雇用を創出することができるようにもなります。
たとえば、送迎の時間で送迎業務を行ってもらう人材に送迎の前後で保育事業所の清掃業務を行ってもらう。
昼食やお昼寝の前後の時間で給仕業務やおもちゃ、布団の準備、レクリエーションの準備などをまとめて行ってもらう、などの業務の依頼ができるでしょう。
あらかじめ保護者へもそういった取り組みが始まることをきちんと説明ができていれば、トラブルやクレームにつながるケースも少ないでしょう。
もちろんコロナ禍ですので、きちんとした感染対策も必要です。
ただ、一スタッフへの感染対策の施策の一つと位置付ければ、そこまで人事担当者の負荷も多くなることはないでしょう。

いかがでしたでしょうか。
人事担当者はぜひ一度保育士一人で全ての業務を行わなければいけないという発想を捨てて、どれだけ保育士に本来の業務である子供へ向き合う時間を創出できるかという発想に切り替えていただければと思います。
業務負荷の少ない保育事業所はサービスレベルも上がり、更なる入園者の確保や求職者の確保にもつながります。
業務負荷の分担や軽減などに関わるこういった働き方改革の取り組みは採用活動にもつながっています。
とくに福祉業界・保育業界では採用活動の成否が在職者や退職者、求職者の口コミに大きく左右されるケースも多いため、ある意味では採用活動よりも重要な取り組みであるといえるでしょう。