〚障害トピックス〛ボランティアの活用

いま障害業界では人材不足解消のためにボランティアの活用が注目を集めています。
ボランティアというと無償のイメージも強いですが、実はボランティアには有償ボランティアと無償ボランティアの2種類あります。

無償ボランティアは費用が発生しないものですが、有償ボランティアは労働の対価として賃金ではなく、謝礼を参加者へ支払うものです。
有償ボランティアはもともとはボランティアの参加者の交通費、食費、備品代などをカバーするために生まれた制度です。

最近ではアクティブシニアの間でよく話題になる働き方の一つでもあります。
ただ、有償ボランティアの参加者と通常の条件で働く労働者とでは人材活用の仕方は全く別になりますので、人事担当者の皆様は注意が必要です。
ボランティアの参加者者を決して安い人件費で活用できる人材という立て付けで考えてはいけません。
通常の労働をお願いしたい場合は、きちんと雇用契約を結ぶ人材を採用するようにしましょう。
有償であろうが無償であろうが、ボランティアで働く人材はあくまで雇用契約を結ぶ労働者のカバー、もしくはサポートを行う人材であるということを意識することが重要です。

ここでボランティアの活用を検討するための手順を紹介します。
利用者の生活全般を支える福祉事業所では、自事業所の職員の業務内容は多岐にわたります。
負荷が重いものから軽微なものまでたくさんの業務があるでしょう。
そういった多くの仕事の中から負荷や責任が軽微な仕事をボランティアの業務として切り出すのです。

まずは自事業所の中の仕事を一度全て可視化して、どういった仕事があるかをリストアップしてみてください。
その中で「〇〇の仕事は責任の範囲が重くなくて、軽微な仕事なので、ボランティアの方々にお任せできそう」というようにボランティアの方々にお任せする仕事内容を決めていきます。

仕事内容が決まったら、オペレーションや条件の詳細、求める人材像などをつめていきます。
その時に基本的にボランティアの参加者は自事業所の近隣に住む方が多いということを忘れてはいけません。
また、求人のメッセージとして「ボランティアの参加者がボランティアを通じてどういった体験、学び、やりがいを得られるか」という視点を必ず考えるようにしましょう。

そして、ボランティアの求人内容が決まったらいよいよ告知宣伝です。
実はこの告知宣伝がしっかりできていないが故にボランティアの参加者が集まらない福祉事業所は多数あります。
できれば下記の全ての手段を試せるといいでしょう。
〚ボランティアの集客手段〛
① 近隣の中学、高校、大学の掲示板へのチラシ掲載
② 自事業所のホームページ、SNSでの募集
③ 自事業所がある都道府県、市町村のホームページ
④ 自事業所がある都道府県、市町村の社会福祉協議会、ボランティアセンターなどの人材支援センターのホームページへの記事掲載
Indeedなどの無料求人媒体への記事掲載
activoYahoo!ボランティアボランティアプラットフォームなどのボランティア募集専門のメディアサイトへの記事掲載
⑦ (もしある場合には)施設の前にある掲示板へのチラシ掲載
⑧ 利用者の家族や親族などの関係者へのチラシ配布
など

エリアなどによるかもしれませんが、まずはボランティアの求人を出せるところにはとにかくアプローチをかけることが重要です。
ボランティアの求人は意外と数が多くないため、興味関心がある人の目にしっかりと届けば、応募してもらえる可能性は高いといえるでしょう。

ちなみにボランティアの活動を通じてそこから事業所を理解し、その後に双方合意の上で参加者と事業所が雇用契約を結ぶケースもあるため、ボランティアの活用を採用活動の一環としてとらえる事業者も多いそうです。
ぜひ人材確保の一つの手段としてボランティアの活用も検討してみてください。