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このページでは、福祉業界の「介護」に関わるニュースを紹介していきます
■本ページのアジェンダ
・介護業界の週ごとの注目ニュース一覧
2026年10月19日~10月25日の注目ニュース

介護業界において、慢性的な人材不足や採用難、職員の離職防止は、多くの事業所が直面している最重要課題です。「求人を出してもなかなか応募が集まらない」「現場の負担が大きく、せっかく採用した職員が定着しない」と悩まれている人事・採用ご担当者様や、施設運営に携わる方も多いのではないでしょうか。
採用難の時代を乗り越え、安定した組織づくりを実現するためには、単なる「欠員補充の採用活動」だけでなく、業務の切り分けによる負担軽減や、働きやすい職場環境づくり(健康経営・ICT活用)、そして未経験者や若手でも成長できる教育体制の構築など、多角的な人事アプローチが不可欠です。そして、そのヒントはすでに先進的な取り組みを始めている他社の最新事例や調査データの中に隠されています。
本記事では、今週発表された介護業界のニュースの中から、「人事・採用・人材育成・職場環境改善」の観点で特に注目度の高い5つのトピックスを厳選しました。各ニュースの要約だけでなく、「人事担当者にとっての学び」や「自事業所で明日から検討できるアクション」までわかりやすく解説しています。自社の採用力強化や定着率向上に向けたヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。
① 介護福祉士の勤務時間の約3割が「専門職でなくても対応できる業務」?タイミー×ベネッセキャリオス、「介護現場の業務実態に関する調査」を実施
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000478.000036375.html
■ 記事の要約
スポットワークサービス「タイミー」と、ベネッセスタイルケアグループでHR事業を展開する「ベネッセキャリオス」が、全国の介護福祉士309名を対象に実施した業務実態調査の結果を発表しました。調査によると、83.2%の介護福祉士が「勤務先の人手が足りていない」と感じている一方で、勤務時間の平均31.0%(1日8時間勤務換算で約2.5時間)が、洗濯やシーツ交換、ゴミ出し、清掃といった「介護の専門職でなくても対応できる業務」に費やされていることが明らかになりました。さらに、こうした周辺業務に時間を取られることで、約4人に3人(75.5%)が「仕事のやりがいが損なわれている」と回答し、半数以上が「自身が提供する介護サービスの質が下がっている」と感じています。注目すべきは、約7割(66.8%)が「専門職以外でもできる業務を任せられる人がいれば、今の職員数のままで人手不足は解消されると思う」と答えている点です。両社はこの課題に対し、777の業務分類をもとに周辺業務をスポットワークとして切り出し、無資格・未経験者の参入促進と専門職がケアに専念できる環境づくりを両輪で進めています。
■ 人事担当者にとっての学び
今回の調査から得られる最大の学びは、現場の課題を単なる「頭数の不足(人手不足)」としてだけでなく、「専門職が本来のケアに向き合う『時間の不足』」として捉え直す視点です。介護福祉士が最もやりがいを感じる瞬間は、利用者から「ありがとう」と言われた時や、状態・表情が良くなった時です。しかし現実には、1日の約3割を周辺業務に追われ、個別ケアや傾聴を諦めざるを得ない状況が「やりがいの喪失」を招き、結果として離職やサービス品質の低下につながっています。有資格者を新たに採用することばかりに目を向けるのではなく、今いる専門職から周辺業務を切り離し、専門性を発揮できる時間を確保することこそが、定着率向上と人手不足解消の近道となります。
■ 自分の事業所で検討できること
まずは自事業所の1日の業務を棚卸しし、「有資格者(専門職)がやるべき直接ケア」と「無資格・未経験者や短時間勤務者でも対応できる周辺業務(シーツ交換、洗濯、清掃、配下膳、備品補充など)」を明確に仕分けすることから始めましょう。その上で、切り出した周辺業務を担う「介護助手(ケアサポーター)」の採用枠を新設することを検討してみてください。フルタイムの介護職採用は難しくても、「1日2〜3時間・家事の延長でできる軽作業」として募集すれば、地域のアクティブシニアや主婦・主夫層、スポットワーカーなど、これまでアプローチできていなかった新たな採用母集団を掘り起こすことができます。
② 【介護・医療の現場の腰痛対策に】移乗・中腰の負担に合わせた職員向け運動プログラムの相談受付を開始
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000343.000118106.html
■ 記事の要約
法人向け健康支援・健康経営支援を行うフラクタルワークアウト株式会社が、介護事業所や病院・クリニックを運営する法人向けに、移乗や中腰など腰に負担のかかる作業が多い職員を対象とした「職員向け運動プログラム」の相談受付を開始しました。厚生労働省の指針でも、介護・看護作業における腰痛予防対策は重要課題とされていますが、現場は交代制勤務であるため「職員が同じ時間に集まりにくく、健康施策が定着しにくい」という構造的な悩みがありました。本プログラムでは、休憩や申し送りの前後に立ったまま・座ったままできる「シフトの合間の短い運動」、夜勤職員も自分の都合に合わせて参加できる「オンラインの運動」、スマートフォンの撮影等で自身の姿勢のクセに気づく「AI姿勢分析」、トレーナーが施設に訪問して移乗前後の体の整え方を指導する「オンサイトセッション」などを、各施設の勤務形態に合わせて組み合わせて提案します。福祉用具の導入や介助方法の見直しと並走し、職員の身体的な負担軽減を支援するサービスです。
■ 人事担当者にとっての学び
介護現場における「腰痛」は、職員が仕事を続けられなくなる(休職・離職に至る)最も深刻な要因の一つです。人事担当者として学ぶべきは、「交代制勤務だから全員参加の取り組みは無理だ」と諦めるのではなく、シフト制や夜勤という不規則な働き方を前提とした「仕組みのデザイン」が重要だという点です。また、腰痛対策を単なる「個人の自己管理」や「気合・根性」に委ねるのではなく、リフト等の福祉用具の活用と、身体を整える運動習慣の提供を法人側の責任(健康経営・安全配慮)として用意する姿勢は、職員に対して「会社は自分たちの体を大切にしてくれている」という強い安心感とエンゲージメントをもたらします。
■ 自分の事業所で検討できること
外部プログラムの導入検討とあわせて、まずは現在のシフト運用の中で「申し送りの前後3分間」など、日勤・夜勤を問わず必ず発生するタイミングに、簡単なストレッチや腰痛予防体操を組み込めないか現場と話し合ってみましょう。その際、人事や本部からトップダウンで押し付けるのではなく、各フロアや部署に1名「健康づくり推進役」のような案内人を決め、現場内で自然に声をかけ合える空気をつくるのが定着のコツです。また、定期健康診断のタイミングだけでなく、日々の面談やパルスサーベイ等で「身体の痛みや不安」を早期にキャッチアップする仕組みを整えることも、突発的な休職・離職を防ぐ有効な一手となります。
③ 入居者・ご家族・学生・地域の方々が集う残暑の夜 特別養護老人ホーム栗林荘が2026年度納涼祭を開催
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000152949.html
■ 記事の要約
栃木県小山市の社会福祉法人丹緑会が運営する特別養護老人ホーム「栗林荘」にて、入居者や家族、地域住民など約350名が来場する「2026年度納涼祭」が開催されました。栗林荘はカフェやパン屋、バスケットコート、スケートパークなどを併設し、世代や立場を越えて誰もが繋がれる「ひらかれた居場所」づくりを実践している施設です。今回の納涼祭では、今年で連携3年目となる宇都宮大学地域デザイン科学部の学生たちが泊まり込みで準備から参画。移動型駄菓子屋の出店や、改装したカフェスペースを全面使用した本格お化け屋敷の企画・演出、抽選会の司会など大活躍を見せました。さらに、ポスターの題字を104歳の入居者が揮毫し、当日は職員自身も本気で企画を楽しみながら、職員の子どもや友人、OB・OG、地域ボランティアが一体となって祭りを盛り上げ、フィナーレには地元の花火師による打上げ花火が夜空を彩りました。
■ 人事担当者にとっての学び
この事例は、中長期的な「採用ブランディング(ファンづくり)」と「職員のエンゲージメント向上」の見事なロールモデルです。介護施設の採用が難航する理由の一つに、施設が地域から閉ざされた空間になりやすく、「中でどんな人が、どんな雰囲気で働いているのか分からない」という心理的ハードルがあります。栗林荘のように、地元の大学と継続的に連携して学生が施設に入り込む機会を作ったり、職員の家族・友人・退職したOB・OGまでが気軽に遊びに来られるイベントを開催したりすることは、求人票の言葉以上に「ここは楽しくて魅力的な職場だ」という事実を周囲に伝播させます。職員が誇りを持って自分の家族や友人を招ける職場環境こそが、最強のリファラル採用(紹介採用)の土壌となります。
■ 自分の事業所で検討できること
いきなりカフェやスケートパークを併設することは難しくても、「施設を地域や関係者に開く小さなイベント」から企画することは十分に可能です。例えば、季節の行事やマルシェを開催する際に、近隣の大学・専門学校のゼミやサークル、地元の中学・高校の吹奏楽部などに声をかけ、企画や運営を一緒に楽しんでもらう場を作ってみてはいかがでしょうか。また、施設イベントに「職員の家族や友人を招待できる枠」を設けたり、過去に退職した元職員(アルムナイ)にボランティアやゲストとして声をかけたりすることもおすすめです。こうした地道な接点づくりが、将来の新卒採用や出戻り採用、地域からのパート応募へと確実に繋がっていきます。
④ 高い専門性と優れた実践力をもつ介護の匠「マジ神®」を生み出す介護人財育成システムが2026年度グッドデザイン賞を受賞 ~優れた実践知を言語化し、組織全体で共有・継承する仕組みを評価~
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000160719.html
■ 記事の要約
株式会社ベネッセスタイルケアの介護人財育成システムが、「2026年度グッドデザイン賞」を受賞しました。介護現場では、ベテラン職員が経験や感覚に基づいてケアの判断を行うことが多く、経験の浅い職員への技術・判断基準の継承が大きな課題となっています。同社は、高い専門性と実践力を持つ社内の介護の匠を「マジ神®」(社内資格制度)と定義し、その思考プロセスや観点を言語化・体系化して研修プログラムに落とし込みました。さらに2022年からは、日々の介護記録システムに匠の思考プロセスを組み込んだ「マジ神AI」を導入。これにより、職員は日常の記録業務の中で自然と「匠は何を見て、どう考え、どう判断するか」という視点をなぞりながらケア方針を検討できるようになりました。テクノロジーを単なる業務効率化のためだけでなく、「人の専門性を育て、暗黙知を組織全体の共有知へと転換する仕組み」として実装した点が高く評価されています。
■ 人事担当者にとっての学び
新人や中途入社の職員が早期離職してしまう大きな原因に、「先輩によって言うことが違う」「ベテランの『背中を見て覚えろ』という指導についていけない」という教育の属人化があります。このニュースから学ぶべきは、優秀な職員(ハイパフォーマー)の頭の中にある「暗黙知(なぜそのケアを選んだのかという根拠や視点)」を徹底的に言語化し、誰もが再現できる「形式知」へと変換する重要性です。また、社内資格の名称に、新人が思わず発した「〇〇さん、マジ神っすね」という言葉から生まれた『マジ神®』を採用している点も秀逸です。職員が親しみやすく、かつ「自分もそこを目指したい!」と憧れを持てるキャリアパス(目標像)を設計することが、組織全体のスキルアップと定着率向上を牽引します。
■ 自分の事業所で検討できること
大規模なAIシステムを開発できなくても、「自事業所の優秀なスタッフの思考プロセスを言語化する」ことは明日からでも始められます。例えば、現場で信頼されているベテラン職員にインタビューを行い、「利用者のどんな小さな変化に注目しているか」「不穏時や事故予防の際に、どんな順番で原因を考えているか」をヒアリングし、チェックリストやケーススタディ集としてマニュアル化してみましょう。また、OJTにおいて「どう動くか(手順)」だけでなく「なぜそう判断したか(根拠)」をセットで伝える指導ルールを作ることも効果的です。あわせて、特定の分野(認知症ケアやレクリエーションなど)で強みを持つ職員を社内で表彰・認定する制度を作れば、中堅職員のモチベーション向上にも直結します。
⑤ 練馬区での「眠りSCAN」活用モデル事業の結果報告
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000098878.html
■ 記事の要約
パラマウントベッド株式会社が、東京都練馬区および練馬区介護サービス事業者連絡協議会との協定に基づき実施した「在宅介護の負担軽減モデル事業(2025年7月〜12月)」の結果を報告しました。本事業では、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「居宅介護支援」の事業所を対象に、非接触型睡眠計測センサー「眠りSCAN」を在宅介護の現場に導入しました。これまで把握が困難だった夜間や一人きりで過ごしている時間帯の睡眠・覚醒・離床状況をデータで可視化した結果、職員向けアンケートにおいて「導入前に感じていた心理的負担の改善」が確認され、随時の訪問回数が減少するなど業務効率化にも寄与しました。また、客観的なデータに基づいたアセスメントやケアプランの見直しが可能になったほか、離れて暮らす家族や同居家族も睡眠状況をデータで確認できることで安心感が生まれ、施設入所ではなく「在宅生活の継続」を決断する材料になった事例も報告されています。
■ 人事担当者にとっての学び
見守りセンサーなどの介護ICT導入というと、これまで特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの「施設系サービス」における夜勤負担軽減が主な話題でした。しかし今回の報告は、「訪問介護」や「居宅介護支援(ケアマネジャー)」といった在宅系サービスにおいても、テクノロジーによるデータの可視化が職員の「心理的負担(見えない時間帯への不安)」を大きく軽減することを証明しています。在宅介護の現場では、「自分が帰った後、利用者様が夜間に転倒していないか」「ちゃんと眠れているか」という精神的なプレッシャーが職員のストレスやバーンアウト(燃え尽き)に繋がりやすいものです。ICTは単なる「作業時間の短縮ツール」ではなく、「職員の心の平穏を守り、根拠あるケアで自信を持たせるメンタルヘルス対策ツール」でもあるという視点を持つことが重要です。
■ 自分の事業所で検討できること
自事業所(施設・在宅問わず)において、職員が「見えないことによる不安」や「勘と経験に頼らざるを得ないプレッシャー」をどの業務で感じているか、現場の声をヒアリングしてみましょう。もし夜間巡視や随時対応、アセスメント業務において心理的負担が大きいようであれば、自治体の補助金やモデル事業を活用して、見守りセンサー等のICT機器をトライアル導入することを検討してみてください。また、すでに機器を導入している事業所であれば、採用広報(求人票や採用サイト)において単に「ICT導入済み」と書くだけでなく、「データで夜間の状況が把握できるため、職員の精神的な不安が減り、落ち着いてケアに向き合える環境です」と、働く人の心理的メリットに翻訳して発信することで、求職者への訴求力が格段に高まります。
今週の介護業界・人事関連ニュース5選では、多角的な視点から「人材不足の解消」と「定着率の向上」にアプローチする最新の調査や事例をご紹介しました。
改めて、今回取り上げた5つのニュースの要点を振り返ります。
1.タイミー×ベネッセキャリオスの業務実態調査
介護福祉士の時間の約3割を占める「専門職以外でも対応できる周辺業務」を切り出し、ケアに専念できる時間をつくることが、やりがい維持と人手不足解消の鍵となる。
2.フラクタルワークアウトの腰痛対策プログラム
交代制勤務や夜勤がある現場でも続けられる「隙間時間の運動」や「オンライン施策」を組み合わせ、法人として職員の身体を守ることが離職防止に直結する。
3.特別養護老人ホーム栗林荘の納涼祭
地元の大学生や地域住民、職員の家族・OBを巻き込む「開かれた施設づくり」が、職員の誇り(エンゲージメント)を高め、中長期的なファンづくり・採用母集団の形成につながる。
4.ベネッセスタイルケアの「マジ神®」育成システム
優秀なベテラン職員の「暗黙知(思考プロセス)」を言語化し、日常業務の中で誰もが再現できる仕組みをつくることで、教育の属人化を防ぎケアの質を高める。
5.パラマウントベッド「眠りSCAN」モデル事業
在宅介護領域においても、ICT活用によって見えない時間帯の状況をデータ化することが、職員の「心理的負担(不安)」の軽減と業務効率化に大きく貢献する。
これらに共通しているのは、「ただ人を増やすことだけにとらわれず、今いる職員が安心・集中して力を発揮できる環境をどうデザインするか」という視点です。
すべてを一度に導入することは難しくても、「まずは周辺業務の棚卸しをしてみる」「申し送り前後に3分間のストレッチを取り入れてみる」「ベテラン職員の判断基準をヒアリングして共有する」といった小さな一歩であれば、コストをかけずに明日からでも始められます。
ぜひ今回のニュースから得られた学びをヒントに、ご自身の事業所で実践できる取り組みを一つずつ試してみてください。現場の働きやすさが改善されれば、職員の定着率が上がるだけでなく、求職者からも「ここで働きたい」と選ばれる魅力的な組織へと確実に進化していくはずです。
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