〚介護トピックス〛福祉ネイリストについて

若い方も年齢が高い方も女性に人気の「ネイル」。
最近、このネイルを自施設のレクリエーションやサービスの一環として取り入れる介護施設が増えてきています。

実際に高齢者にネイルをすることによって、高齢者が心理的に前向きになり、積極的に行動がとれるようになることで運動機能が改善されたり、自身のネイルを見ることにより、ストレスホルモンが減少するといった介護予防効果があるという報告もあります。

そして、この福祉業界、介護業界におけるネイルを施す人のことを「福祉ネイリスト」と呼ぶことが増えてきました。
この新しい職種名については、一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会が名付け親で、同協会は福祉ネイリストの資格をつくり、研修などを行っています。

福祉ネイリストは通常の施術場所にお客様が来てくれるネイリストとは違い、高齢者の自宅や施設を訪問し、ネイルの施術を行います。
また、高齢者自らのネイルに関する希望を聞くケースもあれば、認知症の高齢者の方にはユマニチュードや回想法などの介護技術を使用しながらネイルの内容を決めて施術することもあります。

この福祉ネイリストですが、資格取得を行う人は主に下記4つのケースがあるといわれています。
①介護スタッフが高齢者に提供できるサービスを増やすために自ら資格取得するケース
②介護施設が自施設のサービスを増やすために自施設の従業員へ資格取得を推奨するケース
③通常のネイリストとして活躍していたが、福祉業界、介護業界へもサービス対象を拡大するために自ら資格取得を行うケース
④福祉業界、介護業界で活躍する一職種の一つとして福祉ネイリストという仕事を目指すケース

注目をしていただきたいのは③、④のケースです。
③のケースが最近では増えてきているそうです。
といいますのが、最近ではネイリストの数が増えすぎてネイル業界自体の市場が飽和状態であるため、ビジネスチャンスの拡大を求めて、福祉業界、介護業界へサービスを拡充させるネイリストが増えているそうです。
このケースが福祉業界、介護業界にとって良い側面があるのが、ネイリストが介護業界のことを知ることで、福祉ネイリストとしてだけではなく、介護の魅力にふれて福祉ネイリスト兼介護スタッフとして働きはじめるケースがあるためです。
介護業界にとっては人材確保、採用拡大の可能性を秘めたケースであるといえるでしょう。

④についても若い人が福祉業界、介護業界を目指す一つのきっかけになる可能性を秘めています。
いきなり介護スタッフとして働き始めるよりは福祉ネイリストとして働き始める方が業界で働くハードルを低く感じる人もいるでしょう。
このように働き方や職種における切り口を変えることで、業界への参画ハードルを下げる取り組みはまだまだこれからの取り組みではありますが、介護業界にとってはチャレンジする価値は十分にある取り組みといえるでしょう。
「介護スタッフ募集!」というオーソドックスな求人タイトルもいいですが、人によっては「介護ネイリスト募集!」といった求人タイトルの方が響くケースもあるためです。

ぜひ介護事業所の人事担当者は福祉ネイリストという新しい職種があることを知っていただき、一度自施設にどう活用できるかを検討してみてください。
サービスの拡大だけではなく、採用活動の一環としても見ることができる施策であるため、検討する価値は十分にあるといえるでしょう。